拷問ゴッコと事故   



2013/03/28 掲載
2018/03/29 改稿


 その日私は 釣責め の拷問を受けていた。
 完全に吊られていたのはごく短い時間だったが、身体を下ろされた後、右腕に激しい痺れを感じた。
 手首と二の腕には、縄が食い込んだ痕がくっきり残っていた。
 しばらくすると、血行の回復とともに、痺れそのものはなくなったが、右手首から先が動かない。
 感覚はあるのだが、手首から先はだらんと垂れたまま、動かすことができないのだ。
 十分ほど、お湯で温めたり、マッサージしても回復しないので、焦りを感じる。
 左手でパソコンのキーボードを叩いて、「手首 動かない」で検索してみた。
 すると、すぐに「橈骨神経麻痺」とわかった。

・二の腕などの圧迫によって、神経が損傷。
・回復にはおよそ一ヶ月ほどかかる。
・応急処置は必要ない。

 状態を把握したので、少し安心した。
 医者に掛かって、ビタミンB12(メチコバール)を処方してもらえば、神経の修復速度が早まるとのことだが、なかなか理由を説明しづらいので、とりあえず自然回復で様子を見ることにする。

・当日:マウスが握れない
・3日目:マウスを握って動かせるようになる
 クリックやホイール操作はできない
・7日目:ペンで、きたない字が書けるようになる
 箸が持てるようになる(先端の開閉はできない)
・11日目:時間をかければ字が書けるようになる
 マウスのホイールが回せるようになる
・15日目:じゃんけんのチョキが出せるようになる
・25日目:タイピングが普通にできるようになる
 じゃんけんのパーが出せるようになる

 毎日毎日、少しずつ動かせるようになってゆくのが実感できた。
 そして、回復には確かに一ヶ月掛かった。

    *

 緊縛などのSMプレイによって、神経損傷の事故が起きることは、知識としては知っていた。しかし、余程の無茶をしなければ大丈夫だろうと、あなどっていたのも事実だ。
 釣責めは、かなり無茶な部類に入る。この程度の怪我で済んで、幸いであったと思う。
 拷問プレイをお楽しみの皆様は、くれぐれもお気を付け頂ければ幸いである。

 参考サイト:SMと事故 http://kazumi.kir.jp/jiko.html



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